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胆石症外来

胆石症の増加

食生活の欧米化、高齢化の進展に伴い胆石保有率は急増し、厚生省の統計では1993年には1.000万人を超えたと推測されています。その後疫学的調査は行われていませんが、肥満人口の増加やアルコ-ル消費量の増加から胆石保有率も増加傾向にあると思われます。米国では人口の10~20%が胆石保有者で、毎年50万人に胆嚢摘出術が施行されています。胆石症のリスクファクターとして5F[Forty(年齢)、Female(女性)、Fatty(肥満)、Fair(白人)Fecund・Fertile(多産・経産婦)] は代表的ですが、脂質異常症、食生活習慣(炭水化物、糖質、動物性脂肪の過剰摂取など高カロリ-食)、急激なダイエット、胆嚢機能低下、腸管機能低下などが関連因子として考えられています。
胆汁は、肝臓から生成され一日に約600~1000ml持続的に排泄されます。その成分は胆汁酸、燐脂質、コレステロ-ルが大部分ですが、黄疸の原因となるビリルビンや電解質などが含まれています。胆汁酸は胆汁として胆嚢内で5~10倍に濃縮され、食事中に胆嚢が収縮し総胆管を通って十二指腸に排泄されます。胆汁酸は両親媒性物質で石鹸の性質を持ち、ミセル形成能を有することにより胆汁中でのコレステロ-ル溶存や小腸内での脂質の消化、吸収に重要な役割を果たしています。
胆汁酸、燐脂質、コレステロ-ルの相対的濃度均衡によりコレステロ-ルは溶解されます。濃度不均衡になったコレステロ-ル過飽和胆汁は、核となる物質(脱落細胞、細菌、粘液物質、カルシウム塩、胆汁色素など)とともに結晶化し結石になると考えられています。胆嚢収縮能の低下や胆汁うっ滞も結石生成の重要な要因とされています。2013年日本胆道学会の調査では、胆嚢内結石71%、総胆管結石14.1%、肝内結石3.5%で、コレステロ-ル混成石と黒色石が増加傾向にありました。

胆石症の部位

胆石症の分類

コレステロ-ル胆石60~70%で、黒色石20%、ビリルビンカルシウム石10~20%

胆石の分類

無症状胆石(silent stone)

Charcot の3主徴(疼痛、黄疸、発熱)のない胆石で胆嚢結石全体の50~80%と多く、20年までの自然経過で約20%に症状が出現するとの報告もありますが、原則的には手術しないで経過観察としています。胆石保有者の胆嚢癌合併率が胆石非保有者のそれより6倍高いという報告もあり、胆石による胆嚢粘膜の長期間の刺激が胆嚢癌の発生の原因となっている可能性が示唆されますが、明らかなエビデンスはありません。しかし、胆嚢癌には結石の合併が多いことから胆嚢の壁の観察が重要で、たとえ症状がなくとも年に1~2回の超音波検査を勧めます。

治 療

溶解療法:ウルソ(ursodeoxycholic acid)を数年間内服し結石を溶かす方法で、溶解率は約70%ですが5年以上で50%以上再発します。適応は1cm~1.5cm以下の純コレステロ-ル結石、超音波検査やCT検査で石灰化のない、または少ないコレステロ-ル結石、充満型を除く浮遊胆石、胆嚢造影描出良好な正常胆嚢機能を持っているなどの条件があり、適応となる結石は10~20%と少なく治療に限界があります。
体外衝撃波胆石破砕療法(ESWL):適応は2cm以下で石灰化のない純コレステロ-ル結石のみで、消失率20~40%、完全消失後の累積再発率43.0%と高く、適応する結石も多くありません。
腹腔鏡下胆嚢摘出術:1990年低侵襲な腹腔鏡下胆嚢摘出術の普及以来、技術や機器の発展により現在では有症状胆石治療の第一選択となっています。

治療①

治療②

手術適応

経過観察中に症状の出現や胆嚢壁の変化(胆嚢管閉塞、胆嚢変形著明、萎縮、胆嚢壁肥厚、磁器様胆嚢など)、充満型結石、5mm以下の結石多数、2cm以上の大結石、十二指腸乳頭部憩室や乳頭機能不全、胆道形成異常、高齢者、糖尿病合併胆石症などの場合は、落下結石や黄疸、重篤な胆道感染症、開腹手術への移行のリスクも考慮してインフォ-ムドコンセントのもと手術を行っています。腹部エコ-検査や、CT検査、MRI検査を行い胆嚢内結石と診断された場合、腹腔鏡下胆嚢摘出術が第一選択ですが、周囲臓器への癒着や胆嚢頸部嵌頓結石による高度の炎症の場合は従来の開腹術に移行する場合があります。腹腔鏡下胆嚢摘出術は開腹手術と比べ、手術創が小さく手術侵襲が少ないため痛みも少なく早期退院が可能といった利点はありますが、安全に行うことを第一に考えております。

平成31年4月12日 外科 玄 東吉
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